2016/04/05

■Atomax■おいしいコーヒーをいれる「コツ」を数値化

2010年設立のAtomax(匯智創作)が5年以上の歳月をかけて、初めて世に送り出した製品.おいしいコーヒーをいれる「コツ」を数値化。Bluetooth付き電子はかり「Skale(スケール)」でキッチン×IoTに取り組んだ。Atomaxがどういう経緯を経て「Skale」の開発に至ったのかご紹介しよう。

◆精密電子はかり×スマホで可能性が広がる
「Skale」の基本はかなり精密な測定(0.1g単位)ができる電子はかり。この計測結果をBluetoothでスマホなどに送信することによって、さまざまな応用が可能となる。

◆おいしいコーヒーをいれる「コツ」を数値化
まず「Skale」を使ったコーヒー用アプリ「skaffee」を見てみよう。挽いたコーヒー豆を入れたドリッパーに熱湯をどのようなタイミングでいれればいいのか、時間経過と投入した熱湯の量を精密に計測することで「プロのいれ方」を数値化する。数値化された「プロのいれ方」はアプリ上では青線グラフとして分かりやすく表示される。線が右肩上がりの場合は熱湯を注ぐことを示し、また右肩上がりの角度の緩急で熱湯を注ぐスピードを示す。もし線が水平の場合は注ぐのを一時停止することを示す。コーヒーに詳しい方ならご存知かと思うが、コーヒー粉の表面を熱湯で湿らせてしばらく置く、「蒸らし」をこれで再現する。「Skale」と「skaffee」を使ってコーヒーを入れると、「プロのいれ方」である青線グラフの上に赤線で実際に注入した熱湯の量が表示される。赤線が青線をなぞる様に注入量を調整することで「プロのいれ方」に近づけるわけである。

◆コーヒーに詳しいエンジニアがいたのが「Skale」の開発のきっかけ
Atomax社はもともと加速度センサーをスポーツ科学やスポーツ用品にどう応用していくかを研究していた。実際大手スポーツ用品メーカーや有名大学の研究所とも共同で試作品を何度も開発している。そういった試作品の開発をしていたエンジニアの中にたまたまコーヒーに詳しい者がいたのが、「Skale」の開発のきっかけとなった。欧米ではおいしいコーヒーを淹れるコツとして、水とコーヒー豆成分との比率やコーヒー豆からの成分抽出率をグラフにまとめた「Brewing Control Chart」というものが普及している。そのエンジニアが皆のためにコーヒーを淹れたとき、この「Brewing Control Chart」に沿って、電子はかりを何回も使い、コーヒー豆の重量や水量などを細かく量っており、余りにも複雑だったのが、Atomax社代表のSteven Lee(李明修)の目に留まったのである。

◆結局完璧を求めてハードまで開発
Stevenは元々台湾ソニーのエンジニアだったが、自分の求める製品を作りたくて2010年に独立。Atomax社を設立した。筆者から見ると、Stevenはお金を稼ぐよりもSteven自身が納得いくモノを作るのが優先している台湾では珍しいタイプの経営者である。そういう彼が率いるAtomax社技術陣のやりかたは徹底している。アプリの開発だけでは課題解決に不十分だと知り、ハード、つまり電子はかりにも手を出し始めた。まずは自分たちで電子はかりを片っ端から分解して研究したのだ。その上で必要な機能追加をメーカーに委託しようとしたが、特殊すぎて誰も受けてくれないので、結局自分たちでゼロから新しい電子はかりを開発することになった。以前購入した3Dプリンターが大いに役にたった。

◆不断の試行錯誤を「玩(Play)」と表現する台湾技術者魂
ソフトウェアのエンジニアたちであるAtomax社のエンジニアにとっては、ハードウェアの開発は未知数だったが、心配だったのは「できるかできないか」ではなく、素人すぎて「何ができていない」かも分からないのではないかということだったという。よって何度も試作を行い、またコーヒー愛好家たちのところに持ち込み、ハードもアプリも、テストを繰り返したという。ハードだけではなく、アプリもユーザーインターフェイスを何度も変更している。Stevenはこの試行錯誤を「玩(Play)」と表現する。台湾では多くの優秀な技術者が使う言い方だ。技術者としてとても興味があるものであれば、大変ではあっても試行錯誤する過程は楽しめるものらしい。きっとこの気持は日本の技術者の方にも理解いただけるのではないかと思う。

◆手頃な価格とオープン化でファンを増やす
試作を重ねたこともあって、「acaia」などの類似先行品も出ているが、逆に自分たちの方向性の正しさに自信を持ったという。また一般消費者に受け入れられる価格を目標にハードウェアの開発を進めたことでコスト削減にも成功し、先行品に比べても価格が抑えられ、3,000台湾元(記事執筆時点で約10,000日本円)を切る販売価格となっている。「Skale」はキッチンへのIoT導入を考慮して開発しており、利用はコーヒーに限らない。現在Atomax社ではコーヒー用アプリ「skaffee」以外に別のアプリを開発中である。またAtomax社ではAtomax社だけでは「Skale」可能性の追求には限界があることをよく理解しており、SDKも当初より公開している。是非面白い使い方があれば是非「Skale」を使ったアプリを開発してほしいとのこと。

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Atomax Inc.
匯智創作股份有限公司
http://www.skale.cc/ (製品) http://www.atomaxinc.com/ (企業)
e-mail:service@atomaxinc.com
TEL:+886 (2) 2658-8260 FAX:+886 (2) 2658-8979
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※Atomax (匯智創作)は、ものづくり応援サイト「台湾でモノづくり」参加企業です。以下より日本語にてお問い合わせいただくことができます。どうぞご利用ください。http://mono.pangoo.jp/contact
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http://www.skale.cc

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