2014/08/03

■日曜コラム■お酒の飲み方<その3>宴席では腹を括ってとことん飲む

中国の宴席で「乾杯」(カンペイ)と言ってお酒を誘われたら、杯のお酒を全部飲み乾さなければなりません。もし、飲み乾さずに自分だけ残すと相手の「面子」をつぶすことにもなりかねません。これは相手に対してたいへん失礼な行為なのだ。では、もしあなたが飲み乾す自信がないときにはどうしたらいいか。そろそろ限界に近づきつつあるときにどう謝辞したらいいか。残念ながら、「乾杯(カンペイ)の誘いを断る有効な手段はない」というのが私の答え。やはり頑張って杯のお酒を飲み乾さなければならないのです。これが中国の流儀です。

宴席が盛り上がってくるとホスト役もゲストも互いにお酒を誘い合い「乾杯」「乾杯」の連続となります。誘い誘われ陽気な雰囲気で宴席が進むが、そんなときあなただけ「随意」(スェイイー)では周りが許してはくれません。「随意」(スェイイー)とは少しだけお酒を飲むことです。マイペースで飲みたいときには覚えておきたい便利な言葉ですが、問題は相手がそれを受け入れてくれるかどうか問題です。もし、相手はあなたの「随意」(スェイイー)を受け入れず、杯を飲み乾してしまったら、あなたもやはり相手と同じように飲み乾さなければならないのです。自分の方はそろそろお酒の量がすでに限界に達しつつある場合でも、一気に飲み乾すしかないのです。飲むときは腹を括ってとことん飲むこと。中国で要人との大事な宴席にはそう覚悟して望んだほうがよさそうですね。

中国ではお酒がどれだけ飲めるか、それがその人の器量を判断するひとつの基準でもあります。お酒が強い人を「海量」(ハイリャン)と言います。まるで海のように器が大きい人という意味です。お酒が強いだけではく、人間の大きさを尊敬の念を込めて表す言葉なのです。

一方、日本ではお酒が強い人を「ザル」と言います。この言葉には尊敬の意味が感じられません。また、大酒飲みの喩えとして「うわばみ」とか、酒好きを「飲んだくれ」とか「飲兵衛」と言ったりもします。これらは酒浸りの生活を呆れたり、嘲りの気持ちを込めて言うときの表現です。「酒豪」という言葉は褒め言葉として使いますが、日本語ではこの言葉のように酒が強いことを褒め称える言葉はけっして多くないのです。

しかし、中国語の「海量」は最大級の褒め言葉です。時には「面子」にかけて酒を飲むとき、競い合って酒を飲むとき、「海量」を競い合います。ホスト側も相手が飲みつぶれるほどお酒を振る舞うことがお客様に対する最高の「おもてなし」であり、お酒がたくさん飲めること、酒が強いことは何よりも尊敬されることなのです。繰り返しになりますが、飲むときは腹を括ってとことん飲む。「乾杯」を断る方法や「乾杯攻撃」から逃げる方法を考えたりせずに、覚悟を決めて(?)宴席に望むと考えておいたほうがよさそうです。

もちろん、「命」をかけて飲むことはありません。救急車で病院に担ぎ込まれたりすると、皆さんに迷惑をかけてしまうことになります。陽気に、楽しく、場の雰囲気を盛り上げ、楽しいお酒を心がけて飲むことが大切です。



■日曜コラム■担当:ASIA-NET代表 吉村 章
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