2014/07/06

■日曜コラム■中国や台湾では基本的に「割り勘」という習慣はない

■「割り勘」は貸し借りなしで清算すること、拡大解釈すると「私たちの関係ももう清算しましょう」という意味

中国や台湾では基本的に食事代を「割り勘」にするという習慣がありません。もちろん世代により、地域により習慣の違いはあります。しかし、基本的に食事会では「割り勘」は厳禁と思っていたほうがよいでしょう。食事会を企画した人(食事に誘った人)が食事代を負担するのが基本です。

たとえば、陳さんが仲間を誘って食事に行くとします。日本で友人同士で飲みに行くなら、誘った側も誘われた側も飲み代は人数割りでひとりひとりが平等に負担することは一般的です。食事会を企画した陳さんが全額を負担します。

するとこの食事会に参加していた王さんや李さんは陳さんに「借り」ができます。この「借り」を返すために王さんは次の食事会を企画するのです。もちろんその食事会は王さんが食事代を全額負担して「借り」を返します。すると別の仲間がその「借り」を返すために次の食事会を企画します。

つまり、こうして「貸し」と「借り」を繋いでまた次に集まる機会を作り、人間関係を深めていく。これが「中国流」なのです。もし、ここで誰かが「割り勘にしよう」と言い出すと、「貸し」と「借り」を清算することになり、「次に集まる機会はもう無しにしよう」と言うことを意味するのです。つまり、「友情もこれまで・・・」、これは拡大解釈すると大げさかもしれませんが「絶好宣言」にも通じるのです。

■「面子」(メンツ)を賭けて次の食事会を企画

誘う側は誘った仲間にはお金を払わせない。これが中国人の「面子」です。誘われた側は誘われたままではなく、次の食事会を企画します。今度は自分の「面子」を賭けて、安くて美味しいレストランに仲間を誘うのです。もし、本当に大切な仲間との食事会なら、借金をしても「面子」にかけて大切な仲間をもてなします。

誘っては誘われ、また誘って次に会う機会を作り、「貸し」と「借り」のやり取りを繋いで、一歩ずつ人間関係を深めていくのが中国人のやり方なのです。つまり、中国人にとって食事代を平等に負担することより、むしろ「貸し」と「借り」を作るほうが重要と考えます。中国人にとって食事会は人間関係を深めるための大切な場なのです。

「借り」ができて、その「借り」を返す。「貸し」を作ったら、いつかはその「貸し」は返ってくる。「貸し」を作ったり、「借り」を返したり、「貸し」と「借り」をひとつずつ繋いで人間関係を深めていく。こう考えるのが中国人の「貸し」と「借り」です。

■『人情の貸借関係』を大切にする

「私の貸しはいったいいつ帰ってくるのか・・・」、「私がご馳走したのは北京ダッックだったけど、王さんにご馳走してもらったのは安い料理で損をした・・・」と考えないのが中国人の「貸し」と「借り」なのです。金銭の損得ではなく、気持ちを繋ぐための「貸し」と「借り」であり、中国人はこうした『人情の貸借関係』を大切にします。金額の多い少ないではないのです。

「貸し」も財産、「借り」も財産。『人情の貸借関係』では「債権」も「負債」も同じく財産と考えます。相手に助けてもらった「借り」はせっかちに返そうとせず、相手が本当に困ったときに大きく「借り」を返す。こうした人間関係の基本を作るのが食事会であり、これが食事会で中国人が「割り勘」にしない理由なのです。



■日曜コラム■担当:ASIA-NET代表 吉村 章
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Bridging people, business and culture in Asia


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 http://bylines.news.yahoo.co.jp/yoshimuraakira/

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コメント

浦上アジア経営研究所(浦上 清)
2014/7/14 下午 09:41:00
いつまでも故習にこだわらずフェアな支払いに変えたほうが良いでしょうね。浦上清

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