2014/04/24

■コラム■プレゼンテーションについて考える

TED Talksはこれまで、さまざまな形でプレゼンテーションの世界に影響を及ぼしてきた。そして、TEDが切り開いてきたトークの地平はさまざまな斬新なアイディアや創造性に満ち溢れてる。

筆者は昨年6月、TED(Conference)の運営者、クリス・アンダーソンがハーバード・ビジネス・レビュー誌6月号に書いた記事(Chris Anderson, "How to Give a Killer Presentation", Harvard Business Review, Volume 91, Number 6, 2013)を取り上げ、本ブログで「すばらしいプレゼンテーションをどう行うか」について記事を書いたことがある。

今回も同じ問題意識に基づきトークもしくはプレゼンテーションについて具体的な例を挙げポイントについて簡単に述べてみたい。

最初の例は教育者、ケン・ロビンソンの "How Schools Kill Creativity"(2006)である。TEDの歴史の中でもっともよくみられたトークのようだ。

このプレゼンテーションでは、彼が壇上に現れた瞬間に、話者と聴く人たちの間にあたかもある種の通路が出現したかのような印象すら覚えるから不思議である。2006年にアップされてからこれまでに2,600万回以上みられており、これは実に驚くべきことだ。

次に、弁護士、ブライアン・スティーブンソン の"We need to talk about an injustice"(2012)のケースをみてみよう。

このトークを聴いていると、ブライアン・スティーブンソンは弁論面でよく鍛えられているというか、話し方の組み立てや聴く者を引きつけるすべをよく心得ていると思う。とりわけ、聴衆の感情に訴えるパワーがすばらしい。

最近のHBRブログを読んでいたら、TEDトークに関する記事(Carmine Gallo, "What I Learned Watching 150 hours of TED Talks"が掲載(2014年4月11日付)されていた。そして、この記事で取り上げられたTEDトークの中にはブライアンのプレゼンテーションも含まれていた。

ブログの著者、カルミネ・ガロは、アリストテレスのレトリック(修辞学・弁論術)に関する言辞を取り上げ、「エトス」、「ロゴス」、そして「パトス」の観点から、Bryan Stevensonの約18分のトークを分析している。ここで、「エトス」は人柄を含めた話者の信頼性を意味し、「ロゴス」はデータや統計を意味し、「パトス」は感情を表している。ブログの著者によれば、ブライアンのプレゼンテーションは、「エトス」に基づく説得は10%以下、「ロゴス」に基づく説得が25%であるのに対して、65%は「パトス」、すなわち聴き手の感情への訴えかけに基づくものであるという。ストーリー性のある話しかけにより、聴き手の多くはブライアンの話に共感を覚え、トーク終了時、会場はスタンディング・オベーション。

最後に、プレゼンテーションについて筆者の考えを記す。近年のTED.comが果たしている役割は大きく、われわれはTED Talksなどから多くのことを学び、自分たちのプレゼンテーションに活かすことができると思う。あくまでも、話個々人が主体的に課題を受け止め、自分で考え、自分流の話し方に磨きをかけることが出発点だと思う。

プレゼンテーションの質の向上に至る経路は一つではなく、さまざまな形があってよい。TED.comから参考になるプレゼンテーションをみつけたら、取り入れられると思う点については自分の話し方を考える際に取り入れたらよいと思う。

140418 浦上アジア経営研修所/代表 浦上 清


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