2014/05/11

■日曜コラム■中国で使われている「歴史教科書」

写真をご覧ください。これは中国の中学生向けの「歴史教科書」です。ただし、中国の教科書を日本語に翻訳したもので、中学1年生から3年生まで使う教科書を一冊にまとめた「合冊本」です。中国ではどうやって歴史を教えているのだろうと思って、手に入れました。

注目していただきたいのは右上の写真です。ちょうど真ん中くらいのところ「赤い付箋」があります。この付箋は何を意味しているかというと・・・。このページでは1940年「アヘン戦争」を取り上げています。つまり、ここからが「近代」です。アヘン戦争を境に欧米列強の植民地政策は本格的に中国支配に入ります。清朝の末期、欧米列強への抵抗から辛亥革命へ、帝国主義列強に翻弄される中国の歴史がここから始まります。

ここでは中国の歴史について詳細を述べるつもりはありません。強調したいポイントは別のところにあります。

全体の教科書の分量から見て「赤い付箋」の位置をもう一度ご覧ください。何を言いたいかというと、中国では「アヘン戦争」以降の近現代の歴史をこれだけのページを割いて(これだけの時間をかけて)教えるのです。中国五千年の歴史の中で、教科書のほぼ半分を使って近代史を学ぶということです。

中国人は近代の歴史をよく知っているのです。実によく勉強してきているのです。もちろん個人差はありますが、私の周辺の友人は実によく歴史を知っています。しっかりと理論武装(?)しているのです。ある意味では我々も見習うべきかもしれません。(この点を賛美するつもりはありませんが・・・)

もちろん、多分にプロパガンダ的に洗脳された教育といえるかもしれません。特に、日中戦争に関する記述は政治的な意図が濃厚な記述だったり、反日活動や抗日運動を美化する記述がたくさん取り上げられています。中には目を背けたくなる記述もあります。

このコラムでは国ごとに違う歴史教育の是非について述べることが目的ではありません。中国の歴史教育についてはまた機会を改めて取りあげたいと思います。ここで伝えたいポイントは、その良し悪しはともかく、中国人は自国の歴史を実によく勉強しているということです。では、果たして私たちはどのくらい自国の歴史を勉強してきたでしょうか?

「日本人は歴史を知らなさ過ぎる」、「日本人とは議論にならない」、中国の友人にそんなことを言われたこともあります。歴史認識の是非はともかく、日本人は確かにもう少し自国の歴史を勉強するべきではないかと思います。

彼らの偏った考えとの間で議論にならないのではなく、自らの知識不足で議論がかみ合わないということもしばしばありました。感情的な意見の応酬を繰り返すだけでは何の解決策も見い出せません。相手を知り、自らを知り、そこに接点を見い出すヒントを探し出すことが必要なのではないかと思います。



■日曜コラム■担当:ASIA-NET代表 吉村 章
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Bridging people, business and culture in Asia


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