2014/05/27

シリーズASEAN事情(14)マレーシア連邦から見放された(?)シンガポール

■シンガポールの今と昔

今回はシンガポールについて取り上げます。さて、皆さん、シンガポールからイメージするものは何でしょう?
「ガーデンシティー」「デューティーフリー」「東南アジアの金融センター」「都市国家」など、さまざまなイメージが喚起されるかと思いますが、どちらかというと好意的なイメージが多いのではないでしょうか。

最近では、アイドルグループ「SMAP」が出演するソフトバンクモバイルのテレビCMに出てくるのが、屋上プールで有名なホテル「Marina Bay Sands」です。ちなみに、このホテルのカジノでは、シンガポール人&シンガポール在住者には入場料がかかります。シンガポール政府の狙いは、海外からの観光客にお金を使わせることであって、自国民がギャンブルに興ずることではないようです。

筆者が初めてシンガポールを訪れたのは1984年です。30年ほど前のことですが、シンガポールは、周辺のアジア諸国とは異なる独特の雰囲気がありました。当時はまだ経済成長が始まる前のことで、1シンガポールドル=1マレーシアリンギット=1ブルナイドルと等価でした。

シンガポール国内で買い物する時は、マレーシアリンギット紙幣がそのまま使用できた時代です。現在では考えられないことです。ちなみに現行レートは、1シンガポールドル=2.4マレーシアリンギット前後です*。

■シンガポールについて

正式な国名は「シンガポール共和国 」(The Republic of Singapore)、人口は539万9,200人(2013年)、中国系が74.2%、マレー系が13.3%、インド系が9.1%、その他が3.3%という民族構成になっています。面積は東京23区より少し広い716.1平方キロメートル。言語はマレー語、宗教は仏教、イスラム教、ヒンズー教、道教、キリスト教などです。2012年の統計数字を挙げてみると、実質GDPの成長率は1.3%、名目GDP総額2、764億4、800万ドル、消費者物価上昇率は4.6%、失業率は2.0%と発表されています。

民族暴動を機にマレーシアから追い出されるように独立した経緯があります。そのため国内民族問題に敏感であり、民族対立を煽るような言論・表現は煽動法や宗教調和維持法などによって厳しく取り締まられています。隣国で元々は同じ国であったマレーシアとは、領土や開発問題、欧米諸国へ対する姿勢などでたびたび衝突してきましたが、現在は近隣のインドネシア、タイ王国などの国々と同様ASEAN諸国の一員としての関係を維持してきています。

東南アジアと東アジア、ヨーロッパや中東、オーストラリアを結ぶ交通の要衝であるため、東西貿易の拠点となって古くから繁栄し、海運産業や航空産業が発達してきました。独立後、積極的な外資導入により、重工業を中心とする工業化政策をとり、東南アジアでは最大級の工業国に成長しています。

都市国家であるため、国内の人口や消費の規模は小さいものの、英語や中国語の話者の多さから、香港と並び欧米諸国の多国籍企業のアジア太平洋地域の拠点が置かれることが多く、近年は東南アジアの金融センターとして不動の地位を保っています。現在は一人当たりのGDPが高く世界でも上位に位置し、国際競争力が非常に強い国であり、富裕世帯の割合が世界で最も高く、およそ6世帯に1世帯が金融資産100万ドル以上を保有しているとされています。


◇もの作りのスペシャリストのための情報ポータル「MONOISTist」にて
 知っておきたいアセアン事情」を連載中
 http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/kw/fpro_aseanpro.html

◇コラム DCS代表 栗田 巧

http://www.dcs-group.jp

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