2014/04/08

シリーズASEAN事情(7)カンボジアの製造業拠点として見る「長所」と「短所」

前回に引き続き今回のテーマもカンボジアです。カンボジアの正式な国名は「カンボジア王国」(Kingdom of Cambodia)、人口は1,340万人(2008年)、首都はプノンペンで人口132万7,615人(2008年)、面積は181,035平方キロメートルで日本の約2分の1弱。言語はクメール語が96.31%、ほかに少数民族言語が2.86%、ベトナム語が0.54%など。宗教は仏教が96.93%、ほかにイスラム教1.92%、キリスト教0.37%となっています。公用語はクメール語。カンボジアは第二次世界大戦後、1949年にフランス連合の枠組みの中で独立。その後、カンボジアは南北に分断された隣国でベトナム戦争の影響で国内は不安定化、内線が続きました。2011年の統計では、実質GDP成長率は6.0%、一人あたりのGDP(名目)は853ドルとなっています。

■経済発展と貧富の差の拡大

さて、国連により「後発開発途上国」に指定されているカンボジア。代表的な経済指標を見る限り、確かにその通りなのですが、これだけでは見えてこない実像があります。カンボジアに限らず開発途上国では、都市部と農村部の国内格差が存在します。カンボジアの首都であるプノンペンに限れば、都市人口約2000万人の過半数は世帯年収が5000米ドルを超えているといわれています。2011年から2012年では、プノンペン市の自動車登録台数は18%増加しています。
こうした首都周辺の実経済をベースに、外資系大手スーパーとして初めてカンボジアに出店するのが日本のイオンです。プノンペン市中心から3kmほどのロケーションに得意の郊外型ショッピングモールを建設中です。何年か先には、その駐車場が自家用車で埋まる日が来るのでしょう。また、家電量販店のノジマも2014年のカンボジア出店を計画しています。こうした小売流通業の進出は、東南アジアで最貧国に位置付けられているカンボジアでも、(地域限定ですが)消費市場としてのポテンシャルが高まっている証拠といえましょう。

■製造業拠点としての「長所」と「短所」

・長所人件費が安く、労働集約型製造の受け皿候補
・タイとは陸路で結ばれる地理的優位性
・親日的な国民性
・短所人件費は安いものの、人口が少ないため、大量雇用が必要な大規模な製造拠点設立は難しい
・低い成人識字率(78% 2011年ユネスコ調査)
・インフラの未整備、特に電力供給は安定しておらず、タイと比べても電気料金は高め
・カンボジア国内市場は規模&内容共に限定的
・いまだ地雷除去が行われていない地域が多く残る治安問題

■認識字率の低さ

しかし、カンボジアに進出している企業からは、若干異なる実態が伝わってきます。まずは識字率の低さ、つまり教育レベルの問題です。若年層はまだしも、ある一定の年代となると全く学校教育を受けていない人たちが少なからず存在します。これはポル・ポト政権、その後に続く混乱期が起因しています。同じ内容のトレーニングを施した場合、近隣諸国の製造拠点に比べ、カンボジアの一般ワーカーの修練度上昇カーブは緩やかなようです。

また、企業の求人活動の苦労も多いと聞いています。実際のところ、カンボジアでは、企業の求人活動は一般的ではありません。進出企業は、カンボジア人の人事担当者が近辺の村を訪れ、村長に労働者提供の依頼をするのが、実際の求人活動です。よって、通常であれば、応募者を面接の上で採用決定するところ、カンボジアでは、その村が提供した人材をできるだけそのまま採用しなければならないそうです。こうした状況は、今後、進出企業が増えてくれば変化していくのでしょうが、現時点では、進出企業の多くは先駆者としての苦労を重ねているようです。

◇もの作りのスペシャリストのための情報ポータル「MONOISTist」にて
 知っておきたいアセアン事情」を連載中
 http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/kw/fpro_aseanpro.html

◇コラム DCS代表 栗田 巧

http://www.dcs-group.jp

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