2014/03/18

シリーズASEAN事情(4)ラオスとはどんな国か、人口は664万人、東南アジアで唯一海岸線を持たない国

今回と次回の2回は「ラオス」について取り上げます。安倍晋三首相は2013年11月16~17日にカンボジア、ラオスの2カ国を訪問しました。首相就任1年目で、ASEANの中でも小国である2カ国を訪問することは、とても価値のある外交活動ではないでしょうか。ASEAN地域は歴史的にも華僑と呼ばれる中国系住民が多く、近年では中国との経済的な結び付きが深まっていますが、一般国民レベルでは、日本からの経済援助を期待する声が根強くあります。

ラオスは東南アジアで唯一、海岸線を持たない国です。ラオスの正式な国名は「ラオス人民民主共和国」です。恐らく日本の人々にとって東南アジアの中で一番印象に薄い国がラオスではないでしょうか。バンコクの在留邦人向けには、旅行会社がラオスへのパッケージツアーを用意しています。首都ヴィエンチャンへは往路に寝台列車を利用し、復路は飛行機を利用するツアーが人気を集めています。また、日本では全く知名度がありませんが、ユネスコの世界文化遺産に指定されているルアンパバン(ラオスの古都です)も人気の観光地です。

フランス植民地からの独立した後、長年にわたる内戦があり、それなりにごたごたのあったラオスですが、大規模な戦争のあったベトナム、ポルポト政権による虐殺行為のあったカンボジア(関連記事:タイプラスワン戦略におけるカンボジア、「残された楽園」に潜む可能性と危険性)の印象が強烈過ぎ、これらの仏領インドシナから独立した他の2カ国に比べると、あまり目立たないのかもしれません。

ラオスは東南アジアで唯一、海岸線を持たない国です。その代わり、中国、ベトナム、ミャンマー、タイ、カンボジアの5カ国と国境を接しています。ラオスの人口は約664万人と少なく、国内経済の規模が限られていることも意外と知られていないのではないでしょうか?これはラオスに生産拠点を置き、ラオスの市場を狙うという「地産地消」の製造業モデルは当てはまりません。また、少ない人口は労働人口が限られることにもつながります。

■ラオスについて

正式な国名は「ラオス人民民主共和国」(Lao People’s Democratic Republic) 、首都はビエンチャン、人口:677万6,000人(2013年)、面積は23万6,800平方キロメートル、これはほぼ本州の面積と同じ。首都であるビエンチャンの人口は79万7,130人(2012年)、言語はラオス語、主な宗教は仏教です。IMF推計によると2013年の名目GDPは100億9,900万ドル、購買力平価ベースのGDPは207億7,800万ドル、一人当たり名目GDPは1,490.31ドル、購買力平価ベースの一人当たりGDPは$3,066.27となっています。

第二次世界大戦後にフランスから独立、その後もラオスでは内戦が長期にわたり続きましたが、ベトナム戦争後に連合政府が王政の廃止を宣言、ラオス人民民主共和国を樹立、しかし、1980年代はタイと国境紛争、中国共産党と関係断絶など政治的にも孤立を深めました。この1980年代はソ連のペレストロイカの動きと呼応して1986年には市場原理の導入、対外経済開放を基本とする新経済メカニズムが導入されましたが、ソ連やベトナムを中心とする東側諸国からの多大な援助に依存する経済構造でした。そのため、1989年から1991年にかけて東側陣営の政変はラオスにとっても危機となり、この時期は激しいインフレと通貨キープが大幅に下落するなど経済は混乱しました。

その後、IMFのアドバイスのもとで西側先進国との関係を改善し、国際機関や西側先進国からの援助が増大した、1990年代に入ると次第に経済は安定してきました。1997年7月に隣国タイで始まったアジア通貨危機はラオスにも大きな影響を与え、キープは対ドルだけでなく、対バーツでも大幅に減価しました。現在では、バーツ経済圏の中にあり、タイバーツが自国通貨のキープと同じように流通しています。ホテルやレストランから市場や町の雑貨屋では米ドルも通用し、タイバーツ、自国通貨であるキープ、米ドル、さらに中国国境近くでは人民元も通用する独特な経済圏を作り出しています。


◇もの作りのスペシャリストのための情報ポータル「MONOISTist」にて
 知っておきたいアセアン事情」を連載中
 http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/kw/fpro_aseanpro.html

◇コラム DCS代表 栗田 巧

http://www.dcs-group.jp

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