2014/02/16

■コラム■【日曜コラム】「強み」があれば、ベンチャー企業でも大手企業との取り引きができる

■「強み」さえあれば、企業の大小は関係ない

海外では「強み」があれば、企業の大小、経験の有無は関係ないという事例です。主張すべき「強み」をしっかり見極めて、相手に伝えることが大切です。「強み」をしっかり主張し、その製品が採用する側が求めているもので、すぐにビジネスを始めることができます。つまり、たとえ中小企業であっても、または設立間もないベンチャー企業であっても、関係ないのです。

一方、日本国内では大手企業に自社製品を紹介し、採用してもらうことはなかなかたいへんです。製品の良し悪しだけではく、採用までにプロセスに企業の実績、経営者の経歴、銀行との取り引き実績など、企業の信用に関する書類の提出を求められ、やっとのことでアカウントを作ってもらったといった経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか?日本国内で大手企業に自社のアカウントを作ってもらうということはたいへんなことです。

写真をご覧ください。左手に座っている男性は台湾の大手セキュリティ会社の会長です。この会社はセキュリティ分野で実績を持つ台湾を代表するソフトベンダーです。右手に並んで座っているのは日本のベンチャー企業の若手経営者グループです。これは台北で開催されるCOMPUTEXを視察したときのことです。

COMPUTEXとは毎年6月に台北で開催されるIT分野の展示会です。台湾製品の買い付けを目的に世界中から3万5千人のバイヤーが集まる展示会で、毎年日本から視察グループを組み、視察に訪れています。現地では展示会の視察だけではなく、企業訪問を企画したり、台湾人経営者との交流の機会を設けたり、アジアでのビジネス展開を支援する活動を行っています。

本来は展示会で出展ブースを訪問し、ここで製品説明を受ける予定だったが、ブースで迎えてくれたセキュリティ会社会長のC氏は全員を展示会場に隣接するホテルのレストランに招待してくれて、C氏を囲んでビジネスランチを兼ねたミーティングとなりました。

■「会社の『強み』を1分間で話してください・・・」

なごやかなムードでおしゃべりをしながらまずは食事を済ませて、さあこれからミーティングというときに、C氏は開口一番、こんなことを言いました。
「みなさん、それぞれの会社の『強み』を1分間で説明してください・・・」

表敬訪問のつもりでいた日本側の若手経営者グループはちょっと戸惑ったような表情。いきなり「1分で『強み』を・・・」と言われても、十分に整理ができないまま、ポイントを絞り込んだ会社紹介ができずにミーティングが進みました。

大手セキュリティ会社会長のC氏は、決して高飛車な態度ではなく、偉そうな素振りもまったく見せず、むしろとてもフレンドリーな表情とソフトな言葉遣いで、「みなさん、それぞれの会社の『強み』を1分間で説明してください」という発言でした。

そして、準備不足だったものの、各社の「強み」紹介のスピーチがひと通り終わった後も、次に「我社とどんな接点を持ちたいか・・・」、「COMPUTEXでどんな製品を探しているか・・・」、「アジアでどんなビジネスモデルを提案したいと思っているか・・・」などなど、C氏から直球の質問が続きました。

C氏の積極的な姿勢に日本側は終始圧倒されて、十分に日本側の意向を伝えることができずに1時間ほどのミーティングが終わりました。具体的なビジネスの話になるとは想定していなかったとはいえ、日本側の準備不足は否めません。帰国後の反省会でも、「もっと積極的にアプローチするべきだった」という声も聞かれました。

実は、大手セキュリティ会社会長のC氏は台湾のセキュリティ業界ではけっこうな有名人です。業界団体のまとめ役を勤めるなど、知る人ぞ知る産業会のキーパーソンです。普段は会いたくてもなかなかアポが取れない人物でもあります。このような人物がミーティングではまったく偉ぶるところもなく、実に気さくに応対してくれました。

■自社の「強み」を徹底的に見極めて、しっかり主張することが大切・・・

台湾企業や中国企業の経営者にはこういう人物がけっこう多く、ミーティングでも会社対会社の「型」にはまった形ではなく、「強み」は何か、何をしたいか、どんなビジネスモデルを考えているか、双方にとってのメリットは何かetc. ストレートに質問をぶつけてくます。

つまり、海外では「強み」があれば、企業の大小、経験の有無は関係ないのです。大切なのは自社の「強み」をしっかり認識しているかどうかということ。そして、その「強み」をしっかり主張できるかどうかということです。お互いの「本領」(強み)を徹底的に出し合い、手順や手続きにとらわれず一気にビジネスの接点を探し出そうとするわけです。

このコラムで以前に台湾企業に学ぶアジアビジネス、「三本主義」について書きました。こんなところにも台湾人の「本領主義」を垣間見ることができます。「三本主義」にはアジアでのビジネスに必要なエッセンスが濃厚に凝縮されています。台湾人が実践している「三本主義」を日本企業にも当てはめて考えてみた場合、皆さんの企業は果たしてどうでしょうか。実は、本人主義、本土主義、本領主義の「三本主義」は、裏返してみるとそのまま日本企業の「ウィークポイント」なのではないでしょうか?

日曜コラム担当 ASIA-NET 吉村 章

※「三本主義」についてはこちらのバックナンバーをご覧ください。

http://www.ippc.biz/DetailComment.aspx?nid=1434

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