2014/02/09

■コラム■【日曜コラム】ビジネスのホンキ度を示す事例 台湾人経営者の「本土主義」 

昨年になりますが10月27日の「日曜コラム」で台湾人に学ぶ中国ビジネスという内容を書きました。(右列「コラム」からバックナンバーを参照)台湾人経営者が実践している「三本主義」という内容です。そのひとつの事例として台湾人経営者の「ホンキ度」を示す(?)一枚の写真を紹介したいと思います。

この写真をご覧ください。中国に工場を持つ台湾企業です。写真の中央の白い建物は台湾人幹部社員の住居棟です。工場の敷地内にあります。ここでひとつ「質問」ですが、右手の木の下に写っている小さな建物は何でしょうか?「答え」を考えながらコラムを読み進めてください。

この会社は従業員500人ほどの中堅部品メーカーです。金属加工部品からプラスチック成型部品まで幅広く取り扱っています。社長のS氏は中国に進出して10年。日本企業との取り引きもあり、日本留学経験のある息子さんを日本から呼び返して中国で会社経営に当たっていました。中国側にも幅広いネットワークを持ち、現地の「台商協会」(中国に進出している台湾企業で組織された団体)の役員も務めています。蘇州地域に台湾ベンダーの集積が進む中で、これまで着実に生産規模を拡大してきた企業です。

中国では現地に進出した台湾企業が工場の敷地内に出張者向けの簡易ホテルを建てたり、幹部職員向けの宿舎を建てたりするケースよくあります。幹部職員が自由に利用できるスポーツジムや温水プールを完備するケースや敷地内にゴルフのハーフコートを持つ大手ベンダーもあります。この会社でも台湾から駐在している幹部社員は工場の敷地内にあるこの建物に住み、建物内には幹部社員専用の食堂(専属コック付き)やカラオケルーム、マージャンルームなどの娯楽施設がありました。手前は人口の池で、その周りには野菜畑や果樹園があり、ニワトリ小屋では獲れたての卵を見せてくれました。

さて、右手の建物は? おわかりになりましたでしょうか?

実は、工場の敷地内に建てた「廟」です。「廟」とは道教の宗教施設で、神様やご先祖様を祭るための建物です。つまり、「もう台湾には帰らない(?)」という覚悟でご先祖様まで中国に連れてきてしまった(?)ということ・・・。工場の敷地内にご先祖様を祀る「廟」を建ててしまった。中には商売の神様とされる「関帝」が祀られていました。

「神様も海外赴任」、「祖先様も現地駐在」というわけでです。

「駐在」ではなく、ご祖先も連れ出して「永住」を覚悟・・・。骨を埋める覚悟で本気の中国駐在・・・。台湾人経営者のホンキ気を示す「本土主義」の事例ではあるが、もちろんのこの「本土主義」は日本企業には到底真似はできないことです。しかし、こういう台湾人を相手に闘っていかなければならないことは覚えておきたいところ・・・。敵にするか、見方にするか、日本企業は何を以って彼らの「本気」に対抗すべきだろうか、覚悟が試されるところです。


日曜コラム担当 ASIA-NET 吉村 章

※下記のURLから建物を拡大した写真がご覧いただけます。

http://www.ippc.biz/DetailComment.aspx?nid=1581

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